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東大阪ものづくり視察研修ツアー『河内木綿はたおり工房』 2019年7月20日(土)

 2019年7月20日(土)催行の今回の「東大阪ものづくり視察研修ツアー」は、河内平野の伝統工芸である河内木綿はたおりを現代に伝える「河内木綿はたおり工房 様」、製品力・対応力・技術力・機動力・創造力の5つの力を結集させて稼働しているものづくり企業「サンライズ鉄工株式会社 様」を視察させていただきました。

 観光ビジネス研究会 河合眞起人 執筆の「河内木綿はたおり工房 様の視察レポート」をお伝えします。

【河内木綿はたおり工房】

 近鉄石切駅を降りて「いしきりさん」(石切剱箭神社)の参道に入って間もないところに『河内木綿 はたおり工房』がある。門越に見える玄関の藍地に白い絵文字を染め抜いたのれんが瀟洒な風情を漂わしている。

 玄関を開けると「いらっしゃいませ」と沢山の声が歓迎してくれた。玄関を上がって正面は続き間の広い座敷となっており、机が並び、機織り体験の準備がされていた。右の間には、大きなはたおり機が3基並んでいる。うち1基は洋式織機という。傍らには、かわいらしい小物の作品が陳列されている。すべて木綿製とのこと。

 この工房は11年前に代表の中井由榮さんが夫君の和一郎さんの絶大な助力を得て、昔の河内木綿の再生、復活、伝統技法の継承を目的に立ち上げたのがその始まり。2015年に古民家を借りて現在の「河内木綿はたおり工房」をオープンした。

 棉を種から育て収穫し、糸の紡ぎ方、機織までを学ぶことができる。仲間やご近所のご助力のもと、今はシニア女性中心に約40名の会員規模に成長した。「いしきりさんにお参りに来られた方にも気軽に立ち寄って、糸紡ぎや機織りを体験してほしい」という。

 我々もはたおり体験をさせていただくことにした。「コースターを作りましょう」という。

 各人用に机の上に用意された体験用のはたおり器を使って、会員方から付き添いで手ほどきを受ける。

 不器用な手を動かしながら、間違えるたびに修正を繰り返しつつ何とかコースターを織り上げた。はたおり体験の途中で、棉と種を分離する棉繰り、糸車を使う糸紡ぎなども体験する。

 いずれも、見ていると簡単そうな作業だが、実際に体験すると思うようにいかないところが歯がゆくもあり、面白くもある。

           コースター製作 はたおり体験

           コースター完成

 この工房は、会員の河内木綿について種まきから機織りのまでの一連の知識や技能講習のほか、イベントとして地元の小学生による苗植え、修学旅行生のはたおり体験、大阪商業大学での企画展、藍染め体験などなど 幅広い活動を行っている。

 東大阪市からの依頼で今年9月1日にオープンする東大阪文化創造館のタペストリーを制作した。大阪商大博物館収蔵資料にある「鶴丸牡丹唐草文様」を基に三重県白子町の型紙師が藍染型紙を制作、徳島で藍染した逸品。

 このプロジェクトは大変な大仕事になったが、河内木綿はたおり工房としての記念すべき大事業でありこれまでの活動成果の証ともなった。工房を始めたころ、多くの人から「木綿だけでなく縮緬の作品もおいてはどうか」とか「多彩なワークショップをしたら」などのアドバイスをもらったが、今はつくづく「木綿一本に絞ってよかった」と思う。

河内木綿はたおり工房の方たちと今回の参加メンバー

 今回のプロジェクトが一段落したところで、会員全員で徳島に旅行し、会員同士のきずなを一層深めることができた。これを機に次のステップに進みたいという中井代表は、さらに高い技術への挑戦、より広く河内木綿をひろめるための他地域との文化交流を目指している。

 近くに棉畑があるというので帰りがけに案内していただいた。「この棉畑(わたばたけ)にしても工房にしても、すべて近隣の方のご助力、会員メンバーの努力のたまものです」と説明を受けた。

  工房の近隣にある棉畑(わたばたけ)

棉畑(わたばたけ)

 (注)河内木綿は、糸が太く、肌ざわりはごつごつしているが、洗うごとに布地は滑らかになり、しかも丈夫で長持ちするため、仕事着や暖簾(のれん)や幟、蒲団地などに重宝がられたという。

河内木綿はたおり工房 Web サイト

TEL 072-987-0189 営業時間:10:00~15:00 定休日:不定休

〒579-8011 東大阪市東石切町3丁目2-13

<執筆:観光ビジネス研究会 コンサルタント 河合 眞起人>

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